相続手続きについての相談


相続手続時系列

法定相続情報証明制制度

相続税の申告

相続登記


相続税法
第1条 この法律は、相続税及び贈与税について、納税義務者、課税財産の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。

身内が亡くなると、やらなくてはならない手続が山積みになって、何から手を付ければよいのか分からなくなってしまいま
す。

死亡届、葬式の手配、親族や知人への連絡など様々な手続をしなければなりません。


期限 葬儀 届出 税金 その他
直ちに 知人への連絡 死亡診断書※1(医者)


葬儀・納骨手配



通夜・告別式


7日 初七日 死亡届提出(役所)



火葬埋葬許可申請書(役所)

14日
世帯主変更届(役所)



年金受給停止(役所)



国民健康保険資格喪失届(役所)



介護保険資格喪失届(役所)

早いうちに


銀行へ死亡通知




生命保険金請求




公共料金携帯電話など解約




相続人・相続財産調査
49日 四十九日



納骨


3か月
相続放棄・限定承認(家庭裁判所)

4か月

事業承継確定申告



所得税準確定申告
10か月

相続税申告・納税 (遺産分割協議※2)




被相続人名義預金解約
1年 一周忌

遺留分侵害額請求
2年
葬祭費(役所)※3



埋葬料・埋葬費(協会けんぽ・保険組合)※4



高額医療費払戻し(健康保険加入先)



高額介護サービス費超過分払戻し※5



死亡一時金※6

3年


相続登記
5年
遺族年金請求(役所または年金事務所)



寡婦年金※6

※1 病院での死亡の場合死亡診断書、自宅での死亡の場合死体検案書(2枚以上)

※2 遺産分割をする時期に制限はないのですが、相続税の申告期限までにしないときは、いったん法定相続分で相続税申告をし、遺産分割終了後に更生することになります。

※3 後期高齢者医療制度加入者

※4 埋葬料:個人によって生計を維持され埋葬を行った人

埋葬費:埋葬料該当者なし。埋葬を行った人

※5 介護保険の介護サービスを利用し、自己負担上限額を超えた料金を支払った月がある場合

※6 遺族基礎年金を受給できない場合の補償

死亡一時金:故人と生計を同一にしていた家族

寡婦年金:10年以上婚姻関係にあった夫を亡くした60〜64歳の寡婦


戸籍の入手と法定相続情報証明制度

銀行口座の名義変更や不動産登記など、被相続人の生前から死亡までの戸籍謄本や相続人全員分の戸籍謄本が必要になる機会が何度かあります。法務局の法定相続情報証明制度を利用すると、何度も戸籍の束を用意する手間を省けます。
これは、被相続人と相続人との関係を記した「法定相続情報一覧図」を作成し、法務局に一度限り戸籍の束をもって証明をしてもらうと、その写しが戸籍の束の代わりとなる制度です。写しは法務局で必要な枚数発行してくれます。

凍結されてしまう銀行口座

銀行が預金者が死亡したことを知ると、口座を凍結してしまうことがあります。預金者の死亡したことは銀行には分からないだろうと思いながらATMを利用して、被相続人の口座から死後事務の費用を工面していたら、「突然お取り扱いできません」と表示され、戸惑ってしまうことになるかもしれません。
相続人のうちの一人が勝手に被相続人の銀行口座からお金を下ろして使ってしまうと、親族間で「勝手に使っている」と言い争ってトラブルとなることがあります。銀行はこうしたトラブルに巻き込まれるのを避けたいので、凍結という手段を取るわけです。(本来は相続人が全権利義務を承継するはずですが・・)
多くの銀行は、遺言書か遺産分割協議書がないと、凍結を解除してくれません。
銀行の情報網は甘く見るべきではなく、葬儀の案内板、近隣住民や取引先からの情報、新聞のお悔やみ欄など、いろいろな網から情報を集めます。税金や病院代など、亡くなった方のためにいろいろな費用を支出しなければならないのに、銀行から預金を引きださないと不便です。
遺言書がなく、遺産分割協議が終わっていない場合でも、次の方法で各相続人は、預金を下ろすことができます。
@ 相続人の一人からでも、一つの銀行につき一定の額(最大150万円)を引き出すことができます。(民法第909条の2)
A 家庭裁判所の仮処分。仮払いの必要性が認められるときに家庭裁判所が認めてくれます。この謄本をもって預金をおろせます。

相続税申告期限と計算

相続する財産が、基礎控除額(3000万円+600万円×相続人の数)を超える場合は相続税の申告が必要になります。申告は10か月以内にしなければなりません。
10か月を超えると、やむを得ない場合を除き、延滞税がかかることになります。延滞罪は、2か月以内なら原則7.3%(調整により2.5%前後)、2か月を超えると14.6%(調整により9%弱)です。

相続税の計算は、「課税遺産総額」と「各相続人ごとの納付税額」を二段階に分けて計算します。
「課税遺産総額」の計算:遺産を評価して総額を出し、みなし相続財産(死亡退職金・死亡保険金)及び生前贈与を加えます。基礎控除額を差し引きます。
「各相続人ごとの納付税額」の計算」:各相続人ごとに法定相続分で取得した場合の税額を計算します。国税庁の相続税速算表を使って税率を出し、控除額を引きます。
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1000万円以下 10%
1000万円から3000万円以下 15% 50万円
3000万円超から5000万円以下 20% 200万円
5000万円超から1億円以下 30% 700万円
1億円超から2億円以下 40% 1700万円
2億円超から3億円以下 45% 2700万円
3億円超から6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

次に各相続人ごとに計算した法定相続分で取得した場合の税額全てを合算します。これが相続税の総額(相続人全員で払うべき額)です。
最後に、相続税の総額を、遺言書や遺産分割で決まった実際に各相続人の受け取る財産の総額における割合で按分します。
按分した額が各相続人の支払うべき税額になりますが、相続人の立場によって控除や加算があります。
配偶者は1億6000万円か法定相続分割合の大きいほうの額までは控除されます。
相続人と被相続人の関係が2親等以上離れている場合は2割増しになります。
相続税の計算は、財産評価、生前贈与の額や時期、未成年、障害者、外国税、特例など、多くの知識が必要となりますので、専門家に相談することをお勧めします。

各相続人に掛かる相続税額は、実際に受け取った額が定まらないうちは正確に計算できません。そのため、遺言書がなく、遺産分割協議が済んでいないうちに10か月が経ってしまったときは、各自が法定相続分で相続した場合の割合で相続税の申告をすることになります。この場合、後に調整をしなければならなくなります。
相続税の申告期限を考えて、遺産分割協議をいつまでも先延ばしにせず、早いうちに対策をすることをお勧めします。

相続登記

遺産に不動産が含まれている場合、3年以内に相続(または遺贈)による移転登記をすることが義務化されました。10万円の過料制裁もあります。
移転登記は、相続人全員でしなければならないため(例外あり)、登記に協力しない相続人がいる場合は義務を果たせないことになってしまいます。救済措置として「相続人申告登記の申出」を利用するか、判決による登記をすることになります。