遺言書の相談


自筆証書遺言

秘密証書遺言

公正証書遺言


民法第967条 遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。

遺言書には、いくつかの方式があります。日本の民法に基づく主な遺言書の方式は以下の通りです。
1.自筆証書遺言
これは遺言者が全文、日付、氏名を自書し、押印する方式です。
全文の自書: 遺言者が遺言内容を全て自分で書きます。
日付: 遺言書に日付を記入します。日付は具体的に記載する必要があります。何年何月何日とはっきり書いたほうが無効になるおそれがないので無難です。
署名・押印: 遺言者自身の署名と押印が必要です。
財産目録: 財産が大量にあるときは、財産目録を作成して、遺言書に添付することができます。パソコンでリストにしたり、不動産の登記事項証明書をそのまま利用することができます。各ページに署名押印をすることが必要です。遺言書と一体的にするため、ホッチキスなどで留めて契印をするのが望ましいと言われています。

遺言書の訂正:訂正箇所を、文字が読めるまま上線し、〇字加入〇字削除などと記載して訂正したことを明確にし、押印をします。

保管:自宅や貸金庫など、どこで保管してもかまいませんが、誰も気づかれないような場所に置いておくと、亡くなった後いつまでも見つからないままになってしまうことがあります。
法務局で、遺言書を保管してもらうことができます(遺言書保管法)。本人確認をし、封のされていない遺言書を提出します。この制度を利用すると家庭裁判所での検認が不要になります。費用は3900円です。


2.公正証書遺言
これは公証役場で、公証人の関与のもとで作成される遺言書で、最も安全かつ確実な方式とされています。
遺言者の意思表示: 遺言者が公証人に遺言の内容を口述します。
公証人の筆記: 公証人が遺言者の口述内容を筆記します。
証人の立会い: 2人以上の証人が立ち会います。遺言の中で、財産を受け継ぐことになる人は証人になれません。
遺言者と証人の署名・押印: 遺言者と証人が公証人の前で遺言書に署名・押印します。
公証人の署名・押印: 最後に、公証人が署名・押印します。
遺言書の原本は公証役場に保管されます。相続が生じたときに、相続人が公証役場に遺言書が作成されていないかの確認を取ることができます。
健康上の理由から、外出できない場合、出張料を支払って公証人に来てもらう事もできます。


3.秘密証書遺言
これは遺言内容を秘密にしたまま、公証人と証人の前で遺言書を作成する方式です。
遺言書の作成: 遺言者が遺言内容を自書またはパソコンで作成印字し、署名・押印します。
封印: 遺言書を封筒に入れて封印します。封書には押印が必要です。遺言書と同じ印鑑を用います。
公証人の確認: 公証人と2人以上の証人の前で、遺言書が本人のものであることを確認し、封印された遺言書を公証人が署名・押印します。
費用: 公証人に11000円を支払います。

検認の必要性
自筆証書遺言や秘密証書遺言は、遺言者の死亡後に家庭裁判所で「検認」を受ける必要があります。これは遺言書の存在を確認し、内容の改ざんがされないよう保全する手続きです。公正証書遺言は原本が公証役場に保管されており、改ざんされることはないので検認が不要です。

特別な方式の遺言
状況に応じて特別な方式の遺言が認められることがあります。たとえば、緊急時や船舶内での遺言などです。
緊急時の遺言
遺言者が死亡の危機にある場合など、通常の方式で遺言を作成する時間がない場合に特別な方式が認められます。これは以下のような場合です:
危急時遺言: 臨終間近である場合など、特別な証人2人以上の立会いのもとで遺言が口述され、書面に記録されます。この遺言は遺言者の死後20日以内に家庭裁判所に提出されなければなりません。
船舶内遺言: 船舶の中で遺言をする場合、船長または船医の立会いのもとで遺言が作成されます。

各遺言方式のメリットとデメリット
自筆証書遺言:
メリット: 費用がかからず、簡便に作成できる。
デメリット: 書式不備や偽造のリスクがある。
公正証書遺言:
メリット: 公証人が関与するため、内容の信頼性が高く、偽造のリスクが低い。書式不備によって無効となる心配がない。
デメリット: 公証人手数料がかかる。
秘密証書遺言:
メリット: 内容が秘密に保たれる。プリンターで印刷したものでもよいので訂正しやすい。
デメリット: 公証人の確認が必要。書式不備の可能性がある。

まとめ
遺言書の作成にはそれぞれの方式にメリットとデメリットがあります。個々の状況に応じて最適な方式を選択することが重要
です。また、遺言書の作成にあたっては専門家の助言を受けることをお勧めします。