労働時間の記録


労働時間の管理


労働安全衛生法
第66条の8の3 事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。

使用者は、従業員の職場における労働時間を、適正に把握する責任があります。
1 労働に対する賃金を適正とする
単に一日何時間働いたかということだけではなく、各労働日について、始業時間と終業時間を、使用者自身が記録する、あるいは確認をし、休憩時間を差し引き、その日に何時間働いたかを確定させて把握する必要があります。
労働者に、仕事始めと終わりにタイムカードを勝手に押させているだけでは責任を果たしたとはいえません。タイムカードなどの記録は基礎資料であり、それをもとにして確認し、労働時間を適正に記録しなければなりません。
適切に記録するとは、単に数字を計算するだけのことにはとどまりません。
定期的に実体調査を実施し、自己申告と実際の労働時間の間に乖離がないか確認する。自己申告制の場合は労働者と時間管理者に十分な説明を行う。違法な残業が習慣的に行られるような状況になっていないかについても確認する
こうした措置を取って初めて、適正に記録したということになります。
労働時間に関する記録は、労働基準法第109条の「その他労働関係に関する重要な書類」にあたるため、3年間の保存義務があります。

2 労働者の健康管理の観点から
時間外労働としての賃金や残業代の計算がない従業員に対しても、健康管理の観点から、労働時間の管理をしなければなりません。
使用者は各従業員の労働時間を適正に把握し、長時間の労働により疲労がたまり、健康障害を発生させるリスクが高まった労働者に対し、医師による面接指導を受けさせなければなりません。
時間外・休日労働が「1週間40時間を超えた時間」の合計が月80時間を超えており、疲労の蓄積が認められた場合、使用者は、その労働者に通知をしなければなりません。また産業医にも情報を提供します。産業医が面接指導を勧奨し、それに対し本人から申し出があった場合は医師による面接指導を受けさせることになります。
研究開発業務従事者の場合はこれに加えて、労働者の時間外・休日労働が月100時間を超えたときは、疲労の蓄積が認められるという要件なく、申し出により面接指導を実施します。
高度プロフェッショナル適用者の場合、健康管理時間(健康管理を行うために事業場内にいた時間と事業場外で仕事をした時間の合計)について、「1週間40時間を超えた時間」の合計が月100時間を超えたときに実施します。

使用者は医師からの意見を聴取し、面接指導の結果記録を5年間保存します。