DVについて


DVの種類

影響

法的対応


配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)前文
我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、人権の擁護と男女平等の実現に向けた取組が行われている。
ところが、配偶者からの暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であるにもかかわらず、被害者の救済が必ずしも十分に行われてこなかった。また、配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり、経済的自立が困難である女性に対して配偶者が暴力を加えることは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている。
このような状況を改善し、人権の擁護と男女平等の実現を図るためには、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護するための施策を講ずることが必要である。このことは、女性に対する暴力を根絶しようと努めている国際社会における取組にも沿うものである。
ここに、配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備することにより、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため、この法律を制定する。

 ドメスティック・バイオレンス(DV)とは、家庭内で行われる暴力や虐待のことです。DVには、身体的な暴力だけでな
く、精神的、性的、経済的な虐待も含まれます。DVは深刻な社会問題であり、多くの被害者に対して長期的な心理的、身体
的影響を及ぼします。


DVの種類
身体的暴力:
殴る、蹴る、押す、つねるなど、身体に直接的な傷害を与える行為。
精神的暴力:
言葉や態度によって相手を侮辱したり、脅迫したりする行為。例として、無視する、嫌がらせをする、罵倒するなど。
性的暴力:
相手の意思に反して性的な行為を強要する行為。配偶者間の強制性交も含まれる。
経済的虐待:
お金の管理を一方的に握り、相手に経済的自由を与えない行為。例として、生活費を渡さない、働くことを禁じるなど。
社会的孤立の強要:
相手の交友関係を制限し、家族や友人から孤立させる行為。

被害者の心理
DVを受けた被害者は、自分が被害者であることにさえ気付いていないことがあります。
 「悪いのは自分だ」「自分の努力が足りなかったんだ」
 「本当は優しい人なんだ」「愛情の現われなんだ」
 「子供のために、父親を犯罪者にしてはいけない」
そのために、相当長い期間にわたり誰にも知られることなく、家庭内暴力が繰り返されているケースもあります。
まずは、”自分が被害者であること”に気付いてもらうことから支援がはじまることもあります。
こうした支援は法律家は専門ではないため、支援センターや精神科医によるサポートとの連携が欠かせません。

DVの被害者への影響
身体的影響:ケガ、慢性的な痛み、障害など。
精神的影響:不安、うつ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神疾患。
社会的影響:社会からの孤立、仕事や学業への悪影響。


子供への影響:
DVの家庭で育つ子供は、心理的トラウマを抱えることが多く、将来的に暴力的な行動を取るリスクが高くなります。

法的対応
DVを防止するための法律や支援制度が整備されています。

配偶者暴力防止法(DV防止法):
2001年に制定されたこの法律は、DV被害者を保護し、加害者に対する法的措置を提供します。
保護命令: 被害者が家庭裁判所に申し立てることで、加害者に対する接近禁止命令や退去命令が発令されます。
接近禁止命令は、
 @ 身体に対する暴力を受けた、
 A 生命や身体に対する害悪の告知による脅迫を受けた
 B 自由、名誉、財産に対する害悪の告知による脅迫を受けた
場合に家庭裁判所に申し立てができます。しかしまずは、警察や配偶者暴力相談支援センターなどに相談をすることが必要です。
 被害者や子供に直接近づく事だけではなく、電話やSNSなどによる接触を禁止させることも可能です。

警察の介入:
DV被害者が警察に通報することで、警察は加害者に対して警告を発したり、逮捕することができます。

DVシェルター:
被害者とその子供が一時的に避難できる場所を提供します。

相談窓口:
全国各地に設置されているDV相談窓口では、被害者が無料で相談を受けることができます。


DVの対策
早期発見と対応:
周囲の人々がDVの兆候を早期に察知し、被害者に対して適切な支援を行うことが重要です。
教育と啓発:
DVの危険性や対策についての教育と啓発活動を通じて、社会全体でDVを防ぐ意識を高めることが必要です。
支援ネットワークの強化:
被害者支援団体や行政機関、警察、医療機関、法律家などが連携して、被害者を総合的に支援する体制を整えることが重要です。互いの連携、情報交換の円滑化、被害者の居所情報の漏洩防止措置など、組織的支援の枠組みが進められています。


まとめ
DVは重大な人権侵害であり、早期の発見と対応が求められます。被害者は一人で抱え込まず、相談窓口や専門機関に助けを
求めることが重要です。また、社会全体でDVの防止と被害者支援の取り組みを強化することが求められます。