破産


破産の手続き


破産法第1条
 この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。

破産手続きは、支払い不能に陥った個人や企業がその負債を処理するための法的なプロセスです。このプロセスは、借金を持
つ人(破産者)が残っている資産を清算(売却)し、その収益を債権者に分配することで、借金を清算するのことを目的とし
ています。破産手続きをすれば自動的に借金を返済しなくてよくなるということではなく、そのためには「免責」が認められ
なければなりません。借金自体が悪質(ギャンブル、詐欺、浪費他)な原因によるものである場合に免責が認められない場合
があるので注意が必要です。破産手続きの基本的なプロセスは以下の通りです。

0 準備: 必要な書類を入手します。過激な借金の取り立てを受けていて直ぐに止めたい場合は、弁護士に依頼をして受任通知を送ることが効果的です。準備段階から生活を簡素にし、ローンによる支払を控え、特定の債権者にだけ借金を返済することをしないようにします。
1 破産手続申立て: 借金を返済することができない個人や企業は、裁判所に破産を申し立てることができます。また、また債権者も借金返済を求めて破産を申し立てる場合があります。
2 破産手続開始決定: 裁判所が破産申立てを受理し、費用を予納し破産手続きが開始されます。
3 資産の評価と清算: 債権の確定がなされます。破産手続きの一環として、破産者の資産が評価され、必要に応じて清算(売却)されます。売却から得られた収益は、債権者への返済に使用されます。
4 債権者への配当: 資産の清算から得られた収益が、債権の額の割合に応じて債権者に分配されます。全ての債権者が平等に扱われるわけではなく優先順位が設けられます。
5 破産の免責: 残りの債務について破産者が法的に免責されることがあります。これにより、破産者は経済的に新たなスタートを切ることができます。ただし、免責不許可や非免責となる債権が生じることがあります。
6 破産手続きの終了: 破産手続きを終了します。
破産手続きは手軽にできる訳ではありません。他人に財産(債権者にとっては貸金は財産)を失わせる行為だからです。また破産するにも“お金”がかかります。慎重かつ迅速さのバランスが求められます。また破産手続きは複雑で、個人の財務状況によって異なります。そのため、専門家のアドバイスを求めることが重要です。また、破産には重大な財務的および法的な影響が伴うため、破産以外の選択肢も検討することが推奨されます。

免責不許可事由

以下の場合、免責は認められない場合があります。

思い当たるものがあるときは弁護士に相談してみるのがよいでしょう。
破産法第252条 
 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
一 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
二 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
三 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
四 浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
五 破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
六 業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。
七 虚偽の債権者名簿(第二百四十八条第五項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと。
八 破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
九 不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
十 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。
イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日
ロ 民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日
ハ 民事再生法第二百三十五条第一項(同法第二百四十四条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
十一 第四十条第一項第一号、第四十一条又は第二百五十条第二項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。