債務不履行


債務不履行

債務者の抗弁


民法第414条 

債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。

一 債務の履行が不能であるとき。

二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。

債務不履行とは、債務者が契約や法律上の義務を適切に(債務の本旨に従って)履行しないことを指します。債権者は債務者
に対してさまざまな法的手段を取ることができます。


債権者の請求権

履行請求

債権者は債務者に対して契約の履行を請求することができます。

損害賠償請求権

債権者は債務不履行によって被った損害を債務者に賠償請求することができます。損害賠償には、積極的損害(実際に被った損害)と消極的損害(逸失利益)が含まれます。

解除権:

債権者は契約の目的が達成できない場合や重大な債務不履行があった場合、契約を解除することができます。契約解除により、双方は原状回復義務を負います。

遅延損害金:

履行遅滞の場合、債務者は遅延損害金(遅延利息)を支払う義務を負うことがあります。遅延損害金の率や計算方法は契約や法律で定められています。

強制執行:

債権者は裁判所を通じて強制執行を行うことができます。これは、債務者が自発的に履行しない場合に、債権者の権利を実現するための手段です。例えば、給与や不動産の差押えなどがあります。

債務不履行に対する防御(抗弁権)

債務者が債務不履行を主張された場合、防御手段として以下のことが考えられます。

履行不能の主張:

債務者が債務を履行できないことが、債務者の責めに帰することができない事由によるものであることを証明します。

過失の不存在の主張:

債務不履行に基づく損害賠償請求をされたとき、債務者の側が債務不履行が債務者の故意または過失によるものでないことを証明します。

債権者の受領遅滞の主張:

債務者が履行しようとしたにもかかわらず、債権者が受け取りを拒否した場合など、債権者の側に原因があることを主張します。

減額請求:

損害賠償額が過大である場合、債権者にも過失がある場合に減額を求めることができます。

同時履行:

債権者も責任を果たしていないときに履行を拒みます。

公序良俗:

過大で違法な利息を要求される場合などは、債権自体の無効を主張します。

具体例

履行遅滞の例

AさんがBさんに商品を販売し、代金の支払い期限が過ぎてもBさんが支払わない場合、AさんはBさんに対して履行請求と遅延損害金を請求できます。


履行不能の例

CさんがDさんに特定の機械を納品する契約をしていたが、機械が火災で消失し納品が不可能になった場合、DさんはCさんに損害賠償を請求することができます。

まとめ

債務不履行が発生した場合、債権者は履行請求、損害賠償請求、契約解除、遅延損害金の請求、強制執行などの法的手段を取
ることができます。一方、債務者は履行不能や過失の不存在などを主張して防御することが可能です。具体的なケースに応じ
て、専門の弁護士に相談することをお勧めします。