騒音トラブル


騒音トラブル


軽犯罪法
第1条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
14号 公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者

騒音トラブルは、住人間のストレスや不和を引き起こすため、早期の対応と適切な対策が重要です。
しかし、一般に騒音トラブルの解決は簡単ではありません。

騒音トラブルの解決が難しい理由
騒音の主観性 個々の感性 騒音の感じ方は人それぞれなので、同じ音でもある人には許容範囲内でも、他の人には耐え難い騒音となる場合があります。
音の種類と強度 騒音の種類(高音、低音)や強度(デシベル)によっても、感じ方が大きく異なります。これにより、どの程度の音が「騒音」に当たるのかの基準が曖昧になりやすいといえます。
証拠の収集と客観性 証拠の難しさ 騒音を客観的に証明することが難しい場合があります。録音や記録があっても、録音機器による再生では、その音がどの程度のものか、どのくらいの頻度で発生しているのかを明確に示すことが難しいといえます。
音の一時性 騒音が常時伝わってくるのではなく、断続的に発生する場合、(突然、一瞬)証拠収集が困難になることがあります。
コミュニケーションの難しさ 感情的対立 騒音トラブルは感情的な問題に発展しやすいので、当事者間のコミュニケーションが難しくなることがあります。感情的な対立がエスカレートすると、冷静な話し合いが困難になります。
相手の無理解や無関心 騒音を発生させている側が問題の深刻さを理解せず、改善の意思がない場合が多くあります。
法的手段の限界 法的手段の複雑さ 騒音トラブルを法的に解決するためには、訴訟や調停などの手続きが必要ですが、これらの手続きは時間と費用がかかります。特に少額訴訟などは迅速に解決できる場合もありますが、根本的な解決には至らないことが多いです。
判決の執行の難しさ 法的手段を講じた場合でも、実際に相手が判決に従わない場合、問題の解決には至りません。音を出さないという不作為(ある行為をしてはいけない)命令は強制執行が困難です。
社会的・文化的要因 文化や習慣の違い 騒音の許容範囲や生活習慣は文化や地域によって異なります。例えば、夜間に騒音を出すことが問題視される文化もあれば、昼間の生活音が問題になる文化もあります。
居住環境の違い 古い建物では防音対策が不十分な場合が多く、騒音問題が発生しやすいです。一方で、新しい建物でも設計上の問題から騒音が問題になることもあります。
個別の事情 家族構成や生活スタイル 子供がいる家庭や夜勤がある家庭など、家族構成や生活スタイルによって騒音の発生源や時間帯が異なります。これにより、解決策を見つけるのが難しくなることがあります。
経済的な問題 対策費用 防音対策を施すための費用負担が大きい場合、対策が進まないことがあります。


受忍限度
生きてゆくということは、他人に迷惑をかけることを意味しています。
道端で、じっと立っているだけでも人の通行の邪魔してしまいます。生活してゆくためには避けられない迷惑もあるということです。
言い換えると、誰にでも、ある程度他人に迷惑をかける権利があり、他人の迷惑を我慢する義務があるということです。
騒音を含めて、他人からの迷惑が、法律によって保護されるものかどうかは、「受忍限度」を超えたものかどうかにかかっています。
法的保護を求めるには、騒音の大きさ、音の質、頻度が、誰から見ても我慢する範囲を超えている程度のものか、伝わってくる騒音に対して常識範囲の軽減対策をしているか(相手に伝える、窓を開けっ放しにしない、一般の家に備わっている程度の防音設備など)、などを考慮して、なおも受忍限度を超えていることを客観的な証拠によって立証しなければなりません。

証拠の収集
録音
民間の騒音調査は費用が5万円ほどかかります。
スマホの騒音アプリを利用する方法もありますが、それだけで信用性のたかい証拠として扱われるかというと疑問です。
専門業者の調査は、騒音のレベルを正確に計って客観的な数値によって表します。しかし、何日間も連続して調査してもらうには費用がかかりすぎますし、調査時に騒音が流れてくるとはかぎりません。騒音の頻度までは証明できません。一方でスマホの騒音アプリは、騒音レベルの信用性は劣るが、毎日記録することができる。
そこで両方を組み合わせることも考えられます。スマホのアプリは音の日記代わりとして使います。専門業者の調査は費用が掛かるので、1度きりになりますが、専門業者の調査時に、騒音アプリも同時に使い、同じ騒音を、両方で記録します。たいていはスマホアプリの方は数値的に低い値になると思います。例えば、業者の収音機が100dbなのに対し、アプリは80dbとなるかもしれません。しかし、アプリの記録80bdの音が毎日伝わってくることを示すと、業者が調査すると100db相当の騒音が毎日伝わってきていると主張する根拠にすることができます。証拠は裁判官の感じ方によって左右されますので、はっきりとした証拠として扱うかどうかは確証できませんが、少なくとも客観的な証拠として提出することは可能かと思われます。証拠に制限はないので、裁判官が騒音の場にいなくても騒音レベルを認識してもらえるよう、見えない音を見えるように形を変える工夫をしてください。


日記
いつ、どのような音が聞こえたのか、日時と時間を記録してゆきます。後でまとめて付けることは避けます。相手から、その日は家にいなかったなどと言われて証拠を示されてしまうと、全ての記録は一気に信用性を失います。

診断書
ストレスによる精神障害が発生した場合には用意をします。

近所の人の証言
迷惑と感じている人が他にもいるかもしれません。

自治体
近所の問題について、自治会の総会の議題にしてもらうことも一つの方法です。行政も自治会からの要望であれば動いてくれる可能性が高まります。

警察への通報と刑事手続
騒音が耐えがたいときは、警察への通報をすることも一つの手段です。警察からの指導があってもなお、従わずに騒音を出し続けると軽犯罪法による処罰の対象になります。
また、騒音が身体への影響を与えるほどであれば、身体に対する有形力の行使として、暴行罪や傷害罪の捜査対象にもなります。もっとも、そのためには相当のレベルに達している必要があります。
いきなり110番通報するより、警察相談専用電話9110を利用するのがよい場合もあります。

マンションの場合
管理組合や管理会社に相談することができます。
マンション規約の確認もしておきます。

賃貸マンション
賃貸人には、住人が住みよい環境を整える義務があります。したがって、住民は騒音についても報告をし、必要な行動をもとめることができます。

工場や事業場からの騒音に関するリンク集
総務省の公害苦情相談窓口 (奈良県)
奈良県生活環境保全条例
奈良県における工場や事業場を対象にした届出
騒音規制法