基本的人権




基本的人権


日本国憲法
第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

基本的人権とは

基本的人権は、人間が生まれながらにして持っている、誰もが平等に享受する権利です。これらの権利は、すべての人が人間らしく尊重され、自由で平等に生きるために必要なものであり、国家や他者から侵害されてはならないとされています。基本的人権は、個人の尊厳を守り、社会の公正と平和を実現するための重要な柱となっています。

1. 基本的人権の種類
基本的人権には、いくつかの主要な権利が含まれています。以下に代表的なものを紹介します。

1.1 自由権
思想・良心の自由: 自分の考えや信念を持つ自由が保障され、国家や他者からその自由が侵害されない権利です。これには、宗教の自由や学問の自由も含まれます。
表現の自由: 自分の意見や情報を自由に発信し、受け取る権利です。言論の自由や出版の自由、集会・結社の自由などが含まれます。
身体の自由: 自由に行動し、国家や他者から不当に拘束されない権利です。これには、逮捕や拘禁に対する保障や拷問を受けない権利が含まれます。
1.2 平等権
法の下の平等: すべての人が法の下で平等に扱われ、差別を受けない権利です。性別、人種、宗教、身分などに基づく不当な差別を禁止しています。
機会の平等: 社会や経済活動において、すべての人が平等な機会を享受できる権利です。これは、教育や雇用、政治参加の場面で重要です。
1.3 社会権
生存権: 健康で文化的な最低限度の生活を営む権利です。これには、食料、衣服、住居、医療、教育などが含まれます。
労働権: 適切な労働条件で働く権利です。これには、労働組合を結成する権利や、労働時間の制限、最低賃金の保障などが含まれます。
教育を受ける権利: すべての人が教育を受ける機会を持つ権利です。これには、義務教育の無償化や、教育の内容や質に関する保障が含まれます。
1.4 参政権
選挙権と被選挙権: 政治に参加する権利で、具体的には、選挙で代表者を選ぶ権利(選挙権)と、自らが候補者として選挙に立候補する権利(被選挙権)が含まれます。
公務就任権: 公務員として公共の職務に就く権利です。すべての人が平等に公務員になる機会を持つべきとされています。
1.5 請求権
裁判を受ける権利: 自分の権利が侵害された場合、裁判所に訴えて正当な裁きを受ける権利です。これには、公正な裁判を受ける権利が含まれます。
国家賠償請求権: 国家や公共機関が違法な行為を行った場合、その損害に対して賠償を請求する権利です。
刑事補償請求権: 不当に拘束されたり、冤罪によって罰を受けた場合、国家に対して補償を求める権利です。
2. 基本的人権の保護
基本的人権は憲法や国際的な人権条約によって保護されています。たとえば、日本国憲法では、基本的人権が「侵すことのできない永久の権利」として保障されており、国家権力がこれを侵害することは許されていません。また、国際的には、1948年に国連総会で採択された「世界人権宣言」が、すべての人々の基本的人権を保障するための基礎となっています。

3. 基本的人権の制約
基本的人権は非常に重要ですが、無制限に保障されるわけではありません。例えば、公共の福祉や他者の権利を保護するために、一定の制約が課されることがあります。たとえば、表現の自由が他者の名誉を毀損する場合、その自由は制約を受けることがあります。

4. 基本的人権の進化と現代の課題
基本的人権は時代とともに進化し、新たな権利が認識されることがあります。例えば、インターネットの普及に伴い、プライバシー権や情報の自由への関心が高まっています。また、環境権やジェンダー平等の権利なども現代の課題として注目されています。

5. 基本的人権の国際的保障
国際社会において、基本的人権の保障は重要な課題となっており、国連や地域的な人権機関が人権の保護と促進に努めています。これには、人権条約の締結や、人権侵害が発生した場合の国際的な監視機構が含まれます。

基本的人権は、人間が尊厳を持って生きるために不可欠な権利であり、社会の発展とともにその重要性が増しています。弁護士や人権活動家、政府や国際機関など、さまざまな主体が基本的人権の保護に取り組んでおり、これにより全ての人が平等で自由な社会を享受できるよう努めています。