損害賠償責任


損害賠償責任

過失責任

無過失責任

中間責任


1. 過失責任(Fault Liability)

過失責任とは、加害者が損害を与えた際に、その行為に故意または過失がある場合に負う責任です。一般的に、他人に損害を与えた者が、その行為が不注意や怠慢によるものであるとき、損害賠償責任を負います。被害者が損害賠償を請求するためには、加害者の過失が証明されなければなりません。

例: 交通事故で運転手が前方不注意により他の車に衝突し、その結果、相手方に損害を与えた場合。


2. 無過失責任(Strict Liability)

無過失責任とは、加害者に過失がなくても、一定の条件下で損害が発生した場合に責任を負う制度です。この場合、加害者がどれだけ注意を払っていたか、あるいは過失があったかどうかにかかわらず、損害が発生した場合には責任を負います。無過失責任は、特に危険性の高い活動に適用されることが多いです。

例: 製造物責任法に基づき、製造者が欠陥製品により消費者に損害を与えた場合、製造者がその欠陥について過失がなくても責任を負います。

無権代理人の相手方に対する履行又は損害賠償(民法第117条)
委任者の受任者に対する損害賠償請求(民法第650条)
工作物責任(民法第717条)
取締役が自己のためにした取引(会社法第428条)
製造物責任(製造物責任法)
大気汚染に対する事業者の賠償責任(大気汚染防止法第25条)
水質汚濁に対する事業者の賠償責任(水質汚濁防止法第19条)
鉱害賠償責任(鉱業法第109条?第116条)
国家賠償法上の公の営造物責任(国賠法2条)

3. 中間責任(Intermediate Liability)

中間責任は、過失責任と無過失責任の中間に位置する概念です。この責任の下では、加害者が一定の過失を推定される状況下で損害が発生した場合、加害者がその過失がなかったことを証明しない限り、責任を負います。つまり、過失が推定されるため、被害者側が加害者の過失を証明する必要がない場合がありますが、加害者が反証することができます。

民法上の土地の工作物責任や竹木についての責任(717条)
自動車損害賠償保障法上の運行供用者責任(自賠責法3条)

まとめ

過失責任は、加害者に故意や過失がある場合にのみ責任を負う。

無過失責任は、加害者に過失がなくても、一定の条件下で損害が発生した場合に責任を負う。

中間責任は、過失が推定されるが、加害者がそれを否定することができる責任であり、過失責任と無過失責任の中間的な位置づけです。

これらの概念は、損害賠償の適用範囲を決定する重要な要素となります。